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【青梅夜具地】幻の織物を求めて。「夕日色の会」で触れる、書物にはないリアルな歴史

「青梅」と聞いて、今の皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?
昭和レトロな街並み、あるいは御岳山などの豊かな自然かもしれません。

しかし、ほんの50〜60年前まで、この街が「日本の夜を暖める場所」だったことを知る人は少なくなってきました。
かつて国内シェアの多くを占めながら、時代の波に消えた幻の織物「青梅夜具地(おうめやぐじ)」

今回は、生産者がいなくなった現在もその文化と現物を守り続ける「青梅夜具地 夕日色の会」への取材を通じ、青梅の知られざる繊維産業の歴史と、現在もその魅力に触れられるスポットをご紹介します。

古布リメイクやテキスタイルデザインに関心のある方、地域の産業史を調査されている方にとって、ここはまさに「情報の宝庫」です。

目次

平安時代から続く「織物の街」青梅の変遷

青梅における織物の歴史は古く、平安時代から始まったと言われています。
その名が全国に轟いたのは江戸時代。「青梅縞(おうめじま)」と呼ばれる綿織物が、粋な着物の裏地や普段着として江戸の人々に愛されました。

しかし、明治・大正を経て昭和に入ると、生活様式の変化(服の洋風化)や粗製濫造などの要因により、青梅縞は衰退の危機に瀕します。

起死回生の転換。「夜具地(やぐじ)」への挑戦

「ふとん地は青梅」「夜具地は青梅」という大きな広告

そこで青梅の織物業者たちが目をつけたのが、「夜具地(やぐじ)」でした。
夜具地とは、簡単に言えば「布団(ふとん)や掻巻(かいまき/ナイトウェア)に使われる生地」のことです。

当時の業者は「青梅織物同業組合」を結成。「着心地が良く、庶民に愛された青梅縞」というブランドイメージを巧みに利用し、「夜具地といったら青梅」という地位を確立していきました。

シェア60%!昭和の夜を支えた「青梅夜具地」

「初荷」の様子。何台ものトラックが、夜具地をいっぱいに載せて青梅を出発しました
香川京子さんを起用した広告。「大女優を広告に使えるほど、当時は羽振りがよかったんですね~」と、夕日の会の栗原さん

この転換は大成功を収めます。
最盛期である昭和30年代(1955年〜1965年頃)には、国内で生産される夜具地のなんと約60%が青梅夜具地だったと言われています。

おじいちゃん、おばあちゃんの家にあった、あのふかふかの布団。
少し黄味がかった温かい色合いや、モダンな縞模様のその生地は、青梅で作られたものだったのかもしれません。

しかし、1960年代以降、生活スタイルの変化や安価な製品の台頭により産業は衰退。現在では青梅夜具地を生産する業者は一軒もなくなってしまいました。

幻の布を守る「青梅夜具地 夕日色の会」とは

青梅織物工業協同組合会館の一室に、部屋いっぱいの青梅夜具地が

生産者が途絶え、人々の記憶からも薄れつつある青梅夜具地。
この貴重な文化遺産を後世に残そうと活動しているのが、「青梅夜具地 夕日色の会」(以下、夕日色の会)の皆さんです。

平成16年(2004年)10月、わずか3名の有志から始まったこの会は、現在では20名を超えるメンバーが所属するまでに成長しました。

青梅織物の美しさを一人でも多くの人に伝えるため、日々精力的に活動されています。

  • 資料の収集・保存: 散逸してしまいがちな当時の生地や見本帳、道具などを収集。
  • 展示会の開催: 実際に目で見て触れられる機会の創出。
  • 織物体験: 実際に機織り機を使った体験の実施。

研究者・クリエイターが「夕日色の会」を訪れるべき理由

ネット上の画像検索だけでは分からない「本物」の情報がここにはあります。

「現物」の色と質感

夜具地だけでなく、貴重な図案まで残っています

青梅夜具地特有の、夕日を思わせる温かみのある色合いや、ふんわりとした肌触りは、実物を見なければ分かりません。

また、展示室には、完成した布だけでなく、その元となった貴重な『図案(ずあん)』も保存されています。

当時の図案家が手描きで起こしたこれらのデザイン画は、織物になる前の『原画』とも言えるもの。
筆のタッチや、余白に書き込まれた色指定のメモからは、当時の職人たちの息遣いや、昭和のモダンな美的感覚が色鮮やかに伝わってきます。

現代のデジタルプリントとは違う、織物ならではの奥行きを生み出すための『設計図』。クリエイターの方なら、この図案を見るだけでも創作のインスピレーションが湧いてくるはずです。

膨大なアーカイブ

内部資料もあるので、研究の土台は十分
なまなましい給与明細も……

夕日の会さんでは、当時の帳簿や給与明細といった「経営の内部資料」までもが大切に保管されています。

数字の羅列から見えてくるのは、かつての織物業者たちのリアルな営み。
どのような規模で、どれだけの人々が働き、この街を支えていたのか――。資料の端々から、当時の熱気や生活の息遣いまでもが伝わってくるようです。

資料は会館内に常設されていないため、ご覧になりたい方は、その旨夕日の会さんにお伝えください。

語り継がれる「記憶」

『青梅縞から青梅夜具地へ』の写真
青梅夜具地の大きな流れを知りたいなら、夕日の会『青梅縞から青梅夜具地へ』がおすすめ!

会の方々から直接お話を伺うことで、文献だけでは見えてこない当時の空気感や、織り手の想いに触れることができます。
すでに青梅夜具地を生産していた方々は高齢になってしまい、当時の雰囲気を伝えるのが難しくなっています。そうした中で、夕日の会さんは当時の人の声を生で聞いた伝承者です。

【基本情報】夕日色の会へのアクセス・連絡先

「青梅夜具地についてもっと詳しく知りたい」「実物を見てみたい」という方は、ぜひ一度お問い合わせの上、足を運んでみてください。

青梅夜具地 夕日の会の情報
  • 団体名: 青梅夜具地 夕日色の会
  • 資料保存場所: 青梅織物工業協同組合会館内
  • 住所: 〒198-0044 東京都青梅市西分町3丁目123
  • お問い合わせ先(栗原様): marukuh[アットマーク]gmail.com

※見学や体験をご希望の場合は、事前に電話での確認をお願いいたします。スケジュール調整のため、一か月程度日程を確保されることをおすすめいたします。

まとめ:青梅の「色」を探す旅

かつて日本の多くの家庭で、人々の眠りを包み込んでいた青梅夜具地。
その生産は終わってしまいましたが、その技術と美しさは「夕日色の会」の手によって大切に守られています。

レトロでモダン、そしてどこか懐かしい。
そんな「青梅の色」を探しに、あなたも少しディープな青梅の歴史旅に出かけてみませんか?

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