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【青梅の伝説・昔話】柚木町の「百いらず」|お金が落ちていても拾わないほどの寒さの正体とは?

【青梅の伝説・昔話】お金が落ちていても拾わないほどの寒さ!?柚木町の「百いらず」

青梅のあちこちにひっそりと残る「民話」や「伝説」。
古い文献に眠っているこれらのお話を、現代の視点で掘り起こしてご紹介します!

今回ご紹介するのは、青梅市柚木町(ゆぎまち)に伝わる「百いらず」というお話です。
名前だけ聞くと「百円均一のお店がいらない?」なんて想像してしまいますが、実は青梅の厳しい自然環境と、昔の人々の暮らしぶりがリアルに伝わってくる冷た〜い伝説なんです。

目次

百いらずの伝説まとめ

「百いらず」と呼ばれる場所は、JR青梅線「軍畑駅」から徒歩9分ほどの場所にある、青梅柚木苑地駐車場の付近(青梅市柚木町3-643)を指しています。

昔からこの辺りは、非常に冷たい風が吹き降ろす場所として知られており、人々は寒さに身震いしながら、いつも急ぎ足で通り過ぎていたと伝えられています。

その寒さはすさまじく、「もし道に百文(ひゃくもん)のお金が落ちていたとしても、寒さのあまり拾う余裕などなく、そのまま通り過ぎてしまう」ほどだったとか。
そこから、この場所は「百いらず(百文のお金もいらないほど寒い場所)」と呼ばれるようになったそうです。お金より何より、一秒でも早く暖かい場所へ逃げ込みたくなるほどの寒さ……想像するだけで凍えそうですね!

寒さの原因!?高水颪とは?

高水山(画像はWikipediaより)

それにしても、なぜこの場所はそれほどまでに寒かったのでしょうか?
『青梅市史』の記録を紐解いてみると、この百いらずの場所は「高水颪(おろし)がまっ向から吹き付けるところ」と記されています。

では、「高水颪(たかみずおろし)」とは何なのでしょうか?
「颪(おろし)」とは、冬の時期に山から吹き下ろす冷たい強風のこと(群馬県の赤城おろしなどが有名ですね)。

つまり「高水颪」とは、この地域の北側にそびえる青梅の名峰・高水山(たかみずさん)から、谷間を通ってダイレクトに吹き下ろしてくる氷のように冷たい風のことです。
地形的に、ちょうどこの「百いらず」の場所が風の通り道(風の谷)になっており、山の冷気が一直線にぶつかる厳しい場所だったことが分かります。

山際で暮らしていた昔の人々

この柚木町や軍畑のあたりを歩いてみると、あることに気がつきます。それは、「家が山を背にするように建っている」ということです。

近所の方にお話を伺ってみたところ、昔の青梅の人々の暮らしぶりが見えてきました。
昔は、日当たりのよい多摩川周辺の平らな土地は「畑」として大切に使い、人間はその奥の「山際(斜面や日陰になりやすい場所)」に家を建てて住んでいたそうなのです。自然の恵みである太陽の光を、まずは作物のために優先していたのですね。

当時の人々は、日中の農作業を終えて多摩川沿いの畑から山際にある自分の家へと帰る道すがら、この「百いらず」の風の通り道を歩いていたのでしょう。
夕暮れ時、汗をかいた体に容赦なく吹き付ける「高水颪」。お金が落ちていても拾いたくないほど、急いで家路についた昔の人々の身震いする姿が、鮮明に目に浮かぶようです。


今回は柚木町に伝わる「百いらず」の伝説をご紹介しました。
地形や気候が、人々の暮らしや地名(伝説)に深く結びついているのが青梅の面白さですね!
冬の時期に軍畑周辺を歩く際は、ぜひ昔の人と同じように「高水颪」の冷たさを体感……いえ、しっかりと防寒対策をしてお出かけくださいね!

お読みいただきありがとうございました!
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